エレクトロミュージックが世界共通語だ、なんて戯言を笑顔で語っている人を見ると不思議な気持ちになる。
『世界中がひとつのビートで統一される?同じビートでハッピーなグルーヴだぜ!』・・・
ああ、気味が悪い。
そしてどこのパーティでもレイブでも見聞きするのは同じビート、同じような音、それに同じようなVJの映像。
結局長野の山奥でも、東京の地下と同じようなコンテンツを見てしまうことになる。
技術進歩と情報の平準化は退屈しか生まない。
だからHevensdoorにて提供する音、映像、空間のテーマを「方言」とする。
ジャルゴンとかクレオールとか、土着と伝播が有機発酵vjsで弄くった、並列する現在を提供したい。
発酵とくればちょっと懐かしい醤油臭い風土にもう一度目をやるってのは悪い視点じゃない。
だけどここで「長野」とか「日本」とかを口にするのもやめよう。
今回、HEAVENSDOORののコンセプトはもっと広く、「バザール」と考えている。
雑多な地方、文化、出自の人間が物を持ち寄って
勝手に集い、交差して大きな空間を織り上げる砂漠のオアシスのバザールが見えてくる。
2000年位続けばエルサレムの旧市街になるんだろう。NYもある意味一緒かもしれない。
この意味で今回のVJ陣は颯爽とした面子と独り言つ。
小倉のMOTORDRIVE、東京のmaqui@envol!松本のPalgrphics。ロンドンを起源とするSanFranDisco、
ソフトウェア「DesignPAD」の制作者goody、DIPAURAなどで活躍するhal(caizoc)。
PIXdiskのメンバーも駆けつけてくれる。DVDJで面白いことができそうだ。
それぞれの分野、それぞれの土地で練り上げた一線級のテクニックと表現がここにあり、
情報と機材が集約し、ソフトウェアとハードウェアとリテラシーが同調する。
メインステージでは音のラインナップにも物言いを付けた。
ジャムの音、テクノの音、トランスの音。ジャンルはなんでもよいので
何より音に「波」が欲しい。コントラストが欲しかった。
もとよりローカリズムは十分だ。
名古屋のHydrogenerator、横浜のtheorem、三重のacha、石川のCycrops、静岡のCHAN、
京都のHIDEKICHI、大阪のSASA。
独自の解釈で土地の華が咲くことだろう。
以前チルでやってもらっていたISANOIDは男気のあるライブをメインで。
tributeの父、BATCHも駆けつけてくれる。そして夕暮れにはDACHAMBO。
百花繚乱。そこへ夜になるとVJたちが目を覚ます。
光の供花で里の路地に見えない行列のうねりを呼び戻してみたい。
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